アンロック

誰かの誕生日だったと思い出そうとするが思い出せない。ビデオで『マリア様がみてる〜春〜』第4話「will」を見る。ファーストシーズンも含めた全話中でも一等に輝く話。直後に原作も読んだが、過不足がないとはこのことをいうのだろう。脚本百点。

絵のクオリティも、尻下がりに落ちていったが、冒頭の10分はピカイチだった。由乃さんが出る前後なんて、百点。由乃さんのおさげが若干太めだったんだけど、それが個人的にぐわーっと来た。由乃さんのことでいうと、原作の方がまだ目立ってはいるんだけど、それにしても、落ちつき過ぎなのが少し不満(さらにアニメ版となると「いばらの森」とか、影の主役の回がツブされたりするので寂しい)。

なぜこうなるかというと、卒業式を前にした段階で、信用しすぎてるのではないかと思う。舞台回しであり、自然原作者の影が濃くなる蔦子さん、実奈子さまが白薔薇さま黄薔薇さまだとすると、人員不足で由乃さんがロサ・キネンシスの役回りを演じさせられているようで残念だ。来週の「片手だけつないで」に、期待したい。「春」が来ることも、知ってはいるのだが。

ラスト、「普通な」祐巳ちゃんの、「ロサ・ギガンティア、卒業していいよ!」という言葉に至る交差して別れ→足首→浮き上がってストップという演出も百点。この、卒業式前日に「浮き上がれた」ことのある人にとってその経験は、誰もが三回前後経験したこの特別なイベントの中で、際立って美しく輝いているはずだ。もちろん、今野先生の「あるある吸引力」にも敬意を表して脱帽の必要があるだろう。泣いたもん。四度経験した卒業で泣いたことなかったのに。

中盤愚痴が入ってしまったが、「春」第4話は、アニメ版マリみての金字塔だ。嫌ではないが過不足の「過」にはちがいない照れとやじ馬根性が浄化された分、原作越えとも言える出来だと思う。ただ、もう一回見たいかと言われると、見たいけど、見たくない。

(見ていいよ!)

じゃあ、見る。