ドメスティックシアター

録り溜めた『愛してるぜベイベ★★』を一気に見る。5歳のゆずゆちゃんのママ(ゆずゆちゃんを置いて失踪中)の「こどもおとな」ぶりに驚く。くまさんのぬいぐるみを買ってきたママ。喜んだゆずゆちゃんは、夕食時にくまさんにも食べさせようと食事をぬいぐるみの口にもっていく。ママは「だめよ、くまさんは食べないの」、ゆずゆ「たべるもん!」、ママ「食べないのよ。あぁ、高かったのに・・・」。場面変わってお父さんが帰ってくると、ダイニングキッチンで母娘揃って泣いているのである。しかもお父さんに頼まれて、ゆずゆちゃんの方から謝りに行く始末。

自分はどこかまだ(?)女の子だと思うフシが童貞(D.T.)にはある。僕もD.T.を自認するが、この家族ゲームは想像だにできなかった。少女漫画の母親像はすさまじい。『第二の性』を読んだときと似た疲労感に嘖まれた。

ところでこの物語の主人公・片倉結平はモテモテ男子高校生という設定なのだが、例えば内気な少女が片思いの余りに好きな男子の右手になってしまう『美鳥の不備』(あ、面白い打ち間違い)もとい、『美鳥の日々』の主人公、純情だがワルそうな容姿と風評が災いして告白しても連戦連敗という沢村正治と比べてみると、結平の「モテ」要素は、「女の子な部分」だということがわかる。これは作者の裸の部分だと思われる。

男子の考える理想の女子は、女子の考える理想の男子のことを好きにはならない。

男子女子という横軸に、大人子供という縦軸が交差した『愛してるぜベイベ★★』は少年漫画よりもコクを醸し出しているわけだが、個人的には、愛のあるセックス(及びそれに準ずる行為)以外NGなら、右手になった美鳥ちゃんにひたすら愛される正治になりたい。ゆずゆちゃんのお母さんがあと4、5年帰ってこないなら、考えるが(数字は間違いではありません)。

ニノ&深キョンでリメイクの『南くんの恋人』を見る際は、エッジとしての『美鳥』を踏まえつつ、男子女子のスクランブルに注目されるとよいかと思います。