ミートオニオン

郵便受けに吉報が舞い込むことがなくなってから久しいが、今日は珍しく、二度三度と見返したくなるような郵便物が届いていた。5月23日開催『マリア様がみてる』DVD第1巻発売記念イベント「山百合会に何かご用?」INVITATION CARD。

アップしなかった5月5日の日記草稿から。

 だらだらと寝ていて起きると夜7時。

 ガイナックスフェスティバル行けばよかった! 今日は本来予定が入っていたので、ガイフェス(絶対こうは略しません)には行けないと頭の中で処理してた。

 と気づいたのはスカパーで『恋愛寫眞』を見終え、「アニメTV」の再放送を見ていた時。でもそのおかげで未開封の「マリみて」DVD1巻に封入されたイベント応募券(明日消印有効)も思い出せたわけで、人生万事塞翁が馬である。

この順番から行くと、次は悪いことが起こる予定。たぶん、当日カードを忘れてしまうんだろう。ハガキには「忘れた場合はご入場いただけません」としっかり書いてある。思わず手から滑り落ちたトートバッグを拾おうともせず、会場の九段会館前でぼう然と立ち尽くしていると、背後から聞き覚えのある声が。

「あの、大丈夫ですか?」

うつむいて涙で霞む視界に、腰の辺りで微かに揺れるおさげ髪がフェードイン。

島津由乃さんだ。ついでと言っては失礼極まりないが、隣には支倉令さまの姿も。すぐ近くにある武道館で剣道の大会が行われており、二人で見に来た帰りに興味深いイベントを見つけて、中を覗いていたのだという(言い出しっぺは訊くまでもなく妹の方だろう)。

あまりの展開に目の前で起きている現実が飲み込めない僕。何とか場を取り繕うべく、とりあえずコンクリートの床に落ちたトートバッグを拾おうとすると、ニアサイドにいた由乃さんが手伝ってくれる。『コンサイス英和辞典』、『文庫判・東京都地図』、『パンク侍、斬られて候』と、散らばった本をかき集めてカバンに戻す僕。そういえばあと一冊、さっき駅で買った『剣客商売読本』(新潮文庫)が・・・あ。

同時に拾おうとして触れ合った指先から視線を上げると、大きな目を一際輝かせてこちらを見つめる由乃さんの姿が。ひとしきり「剣客商売」シリーズの魅力について語る二人。ドラマ版のキャスティング(新しい方)への不満爆発。令さまの苦笑いに僕が気づき、束の間の奇跡は閉幕する。武道館の屋根の上で金色に輝くタマネギが、僕たちを見ていた。

遠くない後、二人は世田谷文学館で開催中の「池波正太郎の世界」展で再会することになるのだが、それはまた別のお話。(予告:夢うつつだった僕は、烏山にある世田谷文学館からチャリで帰る道すがらトラックにはねらてしまう。全治2ヶ月。一人寂しく誕生日を過ごすのかと絶望していると、病室のドア上部に行儀よく納まっている小窓の磨りガラスに、忘れようもないシルエットが・・・)

今からでも遅くない、『剣客商売』一巻から読もうっと。