ファイヤーボーイ

『24』の裏だったので録画しておいた『恋風』第2話を見る。『美鳥の日々』もそうだが、清楚な少女に「こちら」を向かせる努力が省略されているところに「新しさ」を感じる。もちろん諸刃の剣ではあるが。ラスト付近、七夏が耕四郎の裾をちょこんとつまんだ時のリアクションに失笑。この主人公は、視聴者からしばしば失笑を被っていることだろう。

続いて『ケロロ軍曹』。有無を言わせないくせに無駄(隙ではなく)の多いテンポにやられる。噂にたがわぬ傑作。よく見ると総監督として佐藤順一の名が。『カレイドスター』のクラウンチームが土曜の朝に居残ってくれたような幸福感。

ブラッドベリ『華氏四五一度』読了。「極端な現実」を提示した快作。文学の力としか言い様のないものが、この中にはあった。文学の力としか言い様がないことが弱点でもあるのだが。

その極端な世界は最後、おそらく核爆弾によって破壊され、ようやく「真の現実」が訪れる準備が調う。主人公の妻は「現実」を謳歌する人間だったが、彼女も核爆発の中に。

自然と、昨日出会ったクソ女を重ね合わせてしまう。彼女は某キー局に出入りしていて、将来的にはドラマのプロデューサーになるのだそうだ。「答え」の中に埋もれ、他人の言葉を聞き入れる耳を持たない人間は、五感を最低限補う想像力が欠如していると考えられる。想像力が欠如したまま二十歳になってしまったのはやはり教育に問題があったのではないかと思われるが、いずれにしろあんな奴は来るべき「核爆発」によって消え去ってしまうことだろう。

主人公達の「行動」は評価できる。しかし、世界を変えたのは結局戦争であって、ガチガチに固まりつつあった凄惨なシステムを破壊したのは核兵器だった。そのような世界だったから、自然に崩れたのだと考えると辻褄は合うが、さて我々の現実はとなると、戦争や核兵器に当たるものが見つからない。僕などはふいにそれが崩れることを楽観とも呼べる態度で期待しているが、その上での「行動」とは別に、何かしなければとも思う。専門学校に火を放つことなく、再生産されるガンを焼き尽くすための何かを。ロイ・マスタング大佐がアニメージュの人気投票で高得票を稼ぎ出していることを思うと「オレは世界を変えるためにウエへ行く!」と宣言すればモテるのだろうが、自分でも驚くほど、気乗りしない。

「建設に従事しないものは、破壊を仕事にすることになる。歴史のように、少年犯罪者のように。それが古い真理ですからな」

現実に敗北しかけていたフェイバー教授が主人公のモンターグに、半ば諦めを込めて言う場面があった。歴史という言葉の意味が一読しただけではよくわからないが、真理という言葉を信じるなら、僕は破壊を仕事とすることになるだろう。

さっそく破壊の専門学校を探そうっと。