ツートップ

幼時からよく発想力を褒められた。が、今では発想力というものは、夢想する時間に比例するのだという考えを固めつつある。つまり、暇な時間があればあるほど、他人に対し「発想力」として表現されるものは、冴を見せるわけだ。

発想力について重要なのは、個々のキャラクターだ。個性が発想力を産む、などと言えば聞こえはいいが、発想を際立たせるためには、発した個人のキャラクターとのギャップがあればあるだけよい。

間違えやすいが、キャラは自分自身で作るものではない。ほとんどの場合、個々のキャラというのは他人によって決められる。自分自身の仕事といえば、他人の決めたそのキャラから自分自身を守るため右往左往するだけ。

他人の作り上げたキャラを自分のキャラだと信じ、物事が悪い方で凝り固まってしまうケースがある。『トレインスポッティング』の登場人物にちなんで、僕は彼らのことを「ベグビー」と呼んでいる。

ベグビーが形成される上で一番の戦犯は、そのことに気づいている周りの人間だ。『トレスポ』でいうとレンツやシックボーイ。あなたの周りでいうと、あなた。

さて、加護ちゃんは、昨今ちょっとした「お笑いベグビー」ではないだろうか。特に矢口真理が去って以降のミニモニ。内で。矢口はいじめられっ子だったから、ベグビー形成に対する抑止力を備えていたのだろう。バラエティ出演の際の態度を見ても、自分がベグビー化してしまうことに対する恐れが見て取れる。とても賢明な態度だと思う。

モーニング娘。全体で見直したとき加護ベグビー形成に加担した同級、下級メンバーの罪は軽くない。そして一番身近にいた辻ちゃん、実は彼女こそ超A級戦犯ではないか。

彼女がそういう態度をとった主な理由は、保身だ。自分に動きの笑いなどが振られた時、「オチはやっぱあいぼんが」という流れに持ってゆくことで、降りかかる火の粉を避け、あるいは軽減できたからだろう。例えそれが無意識の行動だとしても、『あずまんが』終盤における、大阪に対するちよちゃんの過剰な尊敬と同種の、やはり罪には違いない。

モー娘。内で加護ちゃんのベグビー化に対して視線などで機先を制していたのは吉澤や藤本ではないかと思われるが、そういう圧力のない環境で、態度で道を示す先輩・矢口のいないミニモニ。で、モー娘。卒業後新たにユニットを組む「ツジカゴ。」(?)の船出は、ザ・ピースと楽観しているわけにいかない。