モダンタイムズ

バイトの昼休憩、飯を食っていると隣のおばさん二人が話している。

「ほらこの間の“盲目の夫婦”の、見た?」
「見てないわ、何それ」
「盲目の夫婦がいてね、子供も見えないの」
「じゃあどうやって・・・」
「それがね・・・」

スーパーテレビだか何だかで盲目の家族のドキュメントをやっていたようだ。あ、でも三人とも盲目って、と、番組を見てないほうのおばさんが真顔で言った。

「テレビ撮られてることに気づいてたのかしらね」

この天然ボケは結果的に、日本テレビの視聴率事件に対する痛烈な皮肉になっている。歯車に飲み込まれるチャップリンだ。完全にコントロールされてしまった人間は、時に無自覚のまま内側からシステムを攻撃する。

TVブロスにハガキを送る主婦はここに対して盲目になってはいけない。