兄さんコーエン

コーエン兄弟の兄ってジョエル? イーサンだったら兄さんでいいよね。兄さんコーエン。

これはある人物と僕の会話の一部。

伸姉ね。伊藤伸恵さん。やっと伸姉の話できるよ!一昨日の夜からずっと伸姉のこと考えてたよ。先一昨日に『未来は今』見てから。

じゃあ、今小田急ん中だから家に帰ったらゆっくり。

伸姉の好きな映画は「キルビルフロム・ダスク・ティル・ドーン、オー!ブラザー、あとバーバーとか」(4巻)である。これがどういうことを表しているかというと、

オレと全く同じ!

ということである。私は生涯のベスト映画を挙げろと言われれば、オーブラザーとキルビルvol.1のワンツーフィニッシュなのである。

このチョイスの特色はというと、映画に対する、スタンスの取り方の、ゆるさではないかと思う。このスタンスが同じだから、伸姉は、私が面白いと思った映画は全部面白いと思うわけである。バーバーとアメリカン・ビューティーを対比させたり、フロムダスクティルドーンの3以降はさすがにどうなん、いや、私的には2からもう一周した、や、もう1の後半から、みたいなことも、でもスパイキッズは1かなとか、ってか3まだ見てないとか、基本的につまらないホネツギマンの、一瞬だけ面白いとことか、ジョニデずるいわあれとか、そういうのも全部、シンクロするのである。

『シネマ坊主』の著者の、シネマ坊主的な部分に興味がないので読んでなかったのだが、2巻が出るというので覗いてみると、あれ、なんだこれと思う点が多かった。傍らにいた友達に聞いてみると、「何か、撮りたいんだって、映画」と教えてくれて、ガッテンがいった。

松っちゃん、映画に多大なる幻想を持っているのである。だから『ロスト・イン・ラ・マンチャ』を「監督のチンカスやないけ」と糾弾する。

私や伸姉に、そんなものはない。世代の問題かもしれない。ポストモダンの問題かもしれない。とにかく僕らは、映画好きうざいよねーとか、つかマジ死ねばいいよねとか毒づきながら、市民ケーン現金に体を張れに、見たいもの全部入ってたよねと興奮するのである。

なんで松っちゃんが出てきたのかというと、『苺ましまろ』が、「ダウンタウンの笑いありき」でやっている、革新的な面もある漫画だからである。「漫画にダウンタウンの笑いを取り入れた初の例」という意味ではない。萌えとそれのコラボはおそらく初で(GAなんか見てると、ディープなオタクの人らの笑いの独自性を感じる)、斬新だが、ここで大事なのは「ありき」だということである。お笑いとの、スタンスが、映画と同じく、ゆるいのである。この点、伸姉はともかく、ばらスィーと私は違う。

ばらスィーの笑いの感覚は「何か面白いネタないかなぁ」と、ビデオ屋で「ごっつ」借りるという芸当が、できる人のそれである。「サブカルとしてのお笑い」を肯定する、と言い換えてもそんなに間違いではない。それは、私には絶対できない。や、その辺素人なんちゃうん、と思うかも知れないが、ばらスィーが6年前とかにもしNSCに入っていたら、絶対に売れてないよ。今、ブーム以後だと、分かんないけど。

お笑い好きうざいよねーと思う人もいるだろうが、それでもわて、お笑い好っきやねん。

あ、映画の話で言い忘れたことというと、授業中に『オー!ブラザー』のずぶぬれボーイズの下りを聞いているリアクションから推測して、伸姉まだ『ビッグ・リボウスキ』見てないから、見て、一緒にホワイトロシアンを飲みたいなということ。あとカウリスマキは、『浮き雲』から薦められるということ。『レニングラードカウボーイズ』からじゃなくて。