午後十時。渋谷の、センター街からHMVへ抜ける路地に１０代後半から２０代前半と見られる男女のグループがたむろしていた。ガードレールのヘラの部分に、膝を折ってかかとを着いて座った形になっている男性が、１ｍ脇の、ヘラよりは座りやすい支柱部分に腰掛けていた女性の、目を見ず、正面の仲間に向かって声を荒げた。
「だからさこいつは最低の女なんだよ。幸せになる資格ないんだよ」
二人が恋人同士ではないどころか、多目に見積もって顔見知り程度らしいことは、「は？ 私の何知ってるわけ？」という女性のリアクションが物語っていた。
この二人は間違いなく、一両日中にセックスするだろう。
ったくやんなる。
