シンシアージェントル

友人のNと会う約束をしていたのに、寝過ごしてしまう。起き抜けからアニマックスで『るろうに剣心』の前日譚みたいなのを二時間放送していて、ものすごく満喫。一本の名画を見終えた感。

そのままスカパーで、傑作と名高い『ユージュアル・サスペクツ』を初見。たいそうなどんでん返しなのだが、言ってみればカイザーの事務処理なわけで、手前味噌感は否めず。これなら『セブン』の方が断然面白いと思ったけど、違うんだろうか。友人に聞くと、セヴンはブラピが出てるから、ツウ好みではないのではないかと言われ一応納得。

きょうのできごと』の後書きで保坂和志が、ジム・ジャームッシュは「我々」に、未来には希望もないが絶望もないことを提示したと言い切っていて、あまりの言い切りっぷりに感服したので『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を見てみる。

白黒の男女混合ロードムービーということで天然(?)ギャロの『バッファロー‘66』と、まじめなカウリスマキの『愛しのタチアナ』という、2本のコントと重なる部分があった。84年ごろの映画ということだが、去年作ったといわれても不自然ではない。そういう意味では、当時の印象として保坂和志の言葉は正確だったのかもしれない。まじめな人間のまじめな言葉というのは、すなわち時代の言葉ということになるのだろう。記録としては生き続けるが、力は制限される。

当時この作品を打ち出すことは、ジャームッシュにとってまじめな行為だったのだろうか。保坂和志ジャームッシュが『ストレンジャー〜』で示したものから逃げているとすら言いたげな口ぶりだったが、何だか勉強のできる不良に学級委員がイチャモンつけているような感じもしなくはない。