伝言ゲーム

恋する!?キャバ嬢』という番組が『よみがえる空』のあとに始まったので冒頭が目に入ったのだが、キャバ嬢役の、まあ20歳そこそこのグラビアアイドル(公式HPを見ると「主演 長谷部優 長澤奈央 山本早織とあるので、たぶんそのどれか)が「いわゆる、一つの感動、ってやつ?」というセリフを口にした。「いわゆる」と「ひとつの」の間に、たっぷりと一拍。

ナガシマ・イズ・デッド! 巨人軍は永久に不滅かもしれないが、ミスター神話はすでに、御神体の消耗と共に、崩壊しつつあるのだ。

田中角栄の「マァソノ〜」とかと同じように、「耳歴史」の残党として「いわゆる一つの」が存在しているのは認められる。しかし「いわゆるひとつの」のケースでは、モノマネ一発ギャグ的な文言が下手に意味を持った言葉だったために、長嶋茂雄ナチュラルな発言→(コミュニケーションの壁)→団塊の世代→(コミュニケーションの壁)→たぶん若い、もしかしたら女性の脚本家→(バカの壁)→たぶん若い監督→(バカの壁)→グラビアアイドルと伝言ゲームが続けられた結果、最後んとこで監督のスルーが映像になり、たぶんDVD化するから100年残ることになるわけだ。

100年後の若者がこれをみたら、伝言ゲームはさらに
複雑を極め「いわゆる《いわ(一拍)ゆる一つの、『いわゆる(一拍)一つの感動ってやつ?』ってやつ?》のひとつ?」という意味を示すフィンガーサインをしながら、は、置いといて、を
示す「まばたき」、みたいなシーンが、不老不死新薬の開発によってロリ体型で成長が止まった21歳のメイド(=纏足)の口から聞かれるのかもしれない。そういう意味では希望が持てるよね。

歯止めをかける責任があったとしたら、は、監督だよね。まあ、悪気がないし、こんなとこでいちいち止めてたらアイドルと仕事なんてできないのかもしれないけど。そんな、ただの言葉尻じゃんと思うかもしれないが、制作者がバックグラウンドをアリモノとして受け入れることは視聴者に対する侮辱だしエンターテインメントを作る者としての怠惰だよね。ハラキリ! ハラキリ!

上戸彩は一時、年の離れた兄からか、はたまた**上の理由からか、ガンダム大好きっ娘キャラになっていた。それは、ガンダム世代のキッズたちが、自分たちの意のままにセカイを操り始めたぞという勝利宣言のようにも見え、それを無条件で受け入れざるを得ない身にしてみたらあまり心地の良いものではなかったのだが、そのセカイを無条件で受け入れたキッズたちなんだろうね、この番組のスタッフは。まあ、キャバ嬢ドラマだからいいや。